高円寺(2)

新宿から中野、高円寺周辺まで歩きましたが、22時を過ぎたころ、ようやくまた高円寺駅に戻ってきました。


なんだか薄暗い、よくわからない中華料理屋や、大衆居酒屋から出てくるやたら声のでかい男たちを尻目に、私たちの酔いはすっかり醒めていました。


彼が「ウチに猫がいるから見に来る?」と誘ってきたので家まで行くことにしました。


駅から住宅街のほうに抜けて、かなり入り組んだ小径にある、なかなか味のある古い家でした。外観を思い出そうと思ってもなかなか思い出せないくらい、ごちゃごちゃとしていた記憶があります。



家の中が寒すぎて、そして必要最低限のものしかない部屋に驚きました。男の人の一人暮らしの家に上がったことがなかったので、ふーん、こんな感じなのかと思いながらきょろきょろしていました。

猫は人懐っこく、生後1年経っていないくらいだったので小さかったな。この寒い部屋の中にこんなに小さくてあたたかい生き物がいることが、なんだかすごく不思議なことのように思えました。


しばらく猫と触れ合っていたら24時近くなってしまったので、終電で帰りました。なんだかすごく寒かった。二人で喋ってると、全然そんな感じしなかったのに。


不思議な出会いだなぁ、と思いつつ、いや、そう思ってるのは自分だけかもしれないと妙にネガティヴな気分になりながら帰路につきました。


次の週の日曜日も映画を観たり、月に1回くらい一緒にご飯を食べたりと、けっこう仲良くしていたよい友人でしたが、ある日を境に関係性が変わってしまうことになります。その時本当に心を痛めました。


長くなったので続きます。